日本舞踊「将門」Youtube動画公開 <Masakado / Kan Nishikawa>
常磐津「将門 」
大宅太郎光国 西川箕乃助先生
傾城如月実は将門娘 西川寛
◆ストーリー
荒れ果てた平将門の御所にどこからともなく麗しい遊女が現れる。 彼女は手紙を取り出し、本当の恋は苦しいものだと切なさを訴え御所に向かう 古御所には、妖怪の噂を聞きつけて乗り込んだ大宅太郎光国が、まどろんでいた。 光国は、遊女に呼びかけられて目を覚まし、こんなところに居るのは妖怪だろうと斬りかかる。 女はそれを必死に押しとどめ、自分は都の島原の如月といふ傾城だと言う。 少しも警戒を解かない光圀に、以前に光国を見染め、その恋心からここまで来たのだと目をうるませて迫る。 光国は、だまされたふりをしながら、栄華を極めた平将門が将門の乱から討ち死するまでの語を始める。将門が敵方の放った矢先に射貫かれ、馬から落ちて落命する最期の様を語るのを聞くと如月はこらえかねて忍び泣く。光国は如月の様子を見て、将門の娘であろうと詰め寄る。 如月はとうとう滝夜叉姫だと名乗りを上げる。滝夜叉姫は、本性をあらわにし、光国を味方にしようと思ったが、こうなったらお前の命を絶つ!と宣言。二人は、激しい戦いを始める
◆Masakado Story
Beautiful woman appears in the ruins. This place used to be former residence of "Masakado Taira", once a glorious palace, is now in ruins.
She takes out a letter and declares that true love is so painful.
A brave warrior named Mitsukuni is dozing at the former palace. He came after hearing strange monster's rumors about the palace. He starts to kill her, thinking it must be a monster. The woman stops him and tells him she is a courtesan named Kisaragi. Mitsukuni is very suspicious, however she says she fell in love with him and has followed him here. Although Mitukuni knew she was lying, he pretended he didn't notice the fraud. He suddenly talks about the former glory of this place and the rebellion and death of Masakado. He says Masakado was shot in the head by an arrow, fell from his horse and died. When Kisaragi hears this, she cannot hold back her tears. Mitsukuni asked her why she weeps. She changes the subject suddenly and starts to talk about love affairs between courtesans and customers. Mitsukuni joins the dance, playing the customer. Kisaragi drops a banner by mistake. Mitsukuni picks it up, but Kisaragi grabs it back immediately. Mitsukuni says she must be Masakado’s daughter "Princess Takiyasha". She confesses that she is indeed Princess Takiyasha. She was hoping to lure Mitsukuni as an ally. However now that he has spotted her identity, she has to kill him. They begin to fight.
◆歌詞 夫れ五行子にありといふ 彼の紹興の十四年 楽平原なる湯泉の 往昔を茲に湖水の 水気旺んに浩々と澄るは登る天津空 雨も頻りと古御所に 解語の花の立姿 <上記2行は編集でカットしています。> 恋は曲者世の人の 迷ひの淵瀬きのどくの 山より落る流れの身 うき音の琴のそれならで妻呼交す雁金の、其玉章をかくばかり 色に手だれの傾城も 焦るゝ人に逢見ての 後の思ひにくらぶ山 忍ぶ涙の春雨を 傘に凌いで来りける 大宅の太郎は目を覚し、将門山の古御所に、妖怪変化棲家を求め、人倫を悩ます由、頼信公の仰を受し光国が、暫し目睡む其内に、見慣ぬ座敷の此体は、正しく変化の所為なるか 申し/\光国様扨こそ変化ござんなれ、イザ正体をと立寄る光国、女は慌て押止めアヽ申し、様子言ねばお前の疑念、私は都の島原で、如月といふ傾城で御座んすわいなヤア心得難き其一言、波涛を隔てし此国へ 傾城遊女の身を以つて 来り住べき謂れなし よし又都の遊女にせよ ついに見もせぬ其方が、何故我を光国と さあ御尋なくともお前の胸、晴すは過し春の頃何と申し 嵯峨や御室の花盛り 浮気な蝶も色かせぐ 郭の者に連られて 外珍らしき嵐山ソレ覚えてか君様の 袴も春の朧染 朧気ならぬ殿振を 見染てそめて恥かしの 森の下露思ひは胸に 光国様と言ふことは 其折知て旦暮に 女子の年が今日の今 届いて嬉しい此仰 疑念晴して下さんせ やいのやいのと取縋り 赤らむ顔の袖屏風 光国態と打解て いかさま切なるおことが心底 左程に思ふ愛情を 捨るは却て本意ならず 疑念は薩張晴たれども 武辺修行の我身の上 望を果さば兎も角も 夫に付ても往古の 東内裡の荘厳を 思ひ出せばヲヽ夫よ 扨も相馬の将門は 威勢の余り謀叛と共 企て並べし大内裡 驕者の振舞都に聞へ 朝敵討手の三大将 頃は二月の百千鳥 真先かけて押寄る 数度の軍も辛島に 集り勢の悲しさは 風に残んの雪崩れ むら/\ぱつと吹散たり 平親王が最期の一戦 見よや/\と夕月の 鹿毛なる駒に打乗て 向ふ者をば拝み打 立割ほろ付車切 斯と見るより上平太が、放つ矢先に将門は顳顬箆深に射透され 馬よりどうと果敢なき落命、寄手は勇む勝鬨と、今見る如く物語る 思へば無念と如月が 歯を喰しばる忍び泣 さこそと光国詰寄て合点のゆかぬ女が振舞 今合戦の様子を聞き 頻りに催す落涙は と見咎られてそらさぬ顔ホヽホヽヽヽ何の私が泣もので 泣たと言はヲヽソレ/\ 可愛男に別れの鶏鐘 後朝告る朝雀 雀が鳴たと言こといなアほの/゛\と雀囀る奥座敷 灯火しめる男ども屏風一重の彼方には まだ睦言の聞ゆれど我は見足ぬ夢をさき、早後朝と引締る 帯隠さるゝ戯動も憎うはあらぬ移香に 又盃盞の数ふれて 三の切たる三味線も 弾るゝ程は弾て見ん 仇し心の仇枕交さぬ先もあるものを 往なば往なんせよしや只 独浮身を数へ唄 郭の手管に紛らかす はづみに落せし錦の御旗コリヤ是慥にイヤ夫れは夫れとはそれそれ/\/\そつこでせい一つ一夜の契りさへ、二つ枕の許しなき 三つ三重四重まはり気は いつまで解ぬ常陸帯 六つ酷いと思ひはせいで 七つの鐘の恨めしや艶めかし扨こそ/\相馬錦の此旗を 所持なすからは問に及ばず 将門が忘形見 滝夜叉姫であらうがなイヽヤ知ぬ覚えはないぞヤア覚えないとは卑怯の一言 肉芝仙より伝はりし 蝦蟇の妖術習ひ覚え 此古御所に隠れ棲むこと 叡聞くに達せし上は 最早免れぬおことが身の上 本名名乗て降参なせチエエ残念や口惜や 斯なる上は何をか包まん 真我こそ平親王将門が娘 滝夜叉なるは扨こそナ一器量ある汝故 命を助け味方にと 思ふ心が仇となり 見現されし上からは 習ひ覚えし妖術にて 光国そちが命を絶つ 覚悟しや 何を小癪なことを怒れる面色忽然に 柳眉逆立ちつく呼吸は 炎となつて焔々たる 妖術魔術の業通に 流石の勇者もたぢ/\/\ 梢木の葉さら/\/\ 魔風と俱に光国が 襟上抓んで宙宇の争闘 怪し恐ろし世に謳ふ 時をゑほんの忠義伝 歌舞伎に残す物語り、拙き筆に書納む
滝夜叉姫になるまで 〜化粧・着付け・かつら編〜 <KAN NISHIKAWA / Behind the scenes of Nihonbuyo>
顔師:岩﨑淳樹先生
衣装 松竹衣裳様
かつら:横井かつら様
「将門」の舞台セットができるまで <KAN NISHIKAWA / Behind the scenes of Nihonbuyo>
舞踊大道具:かのう舞台美術様